
去る11月8、9日、平成24年度世田谷区肢体不自由児父母の会の研修旅行が催され、同行スタッフとして弊社より2名が参加しました。行き先は紅葉の盛りを迎えつつある日光。もちろん僕らスタッフにとっては仕事ではあるけれど、いろんな出会いに胸膨らんで、前日から緊張半分、興奮半分。当日8日はまさに日本晴れで、午前9時に世田谷区役所前を大型バス2台で出発。参加人数は父兄及び介助者、子供、職員及びヘルパーふくめて39名。平日なので高速道路も空いていて、予定どおり東武ワールドスクエアに到着して昼食。やっぱりいつもとは違う場所に来て、違う空気を吸って、みんなでわいわい食事をするのはいいね。そりゃあ、昼食をとっている最中に「ところで晩ごはんはなに?」と尋ねたくもなるってもの、笑。満腹になったあとは、いざ、滞在先の鬼怒川観光ホテルへ。空いているうちにさっそく温泉に入ろうということで、大浴場に。普段ヘルパーとして利用者さんのお宅に入っている者にとっては、施設の職員さんやボランティアさんの介助の仕方とか、接し方とか、気の使い方とか、いろいろと勉強になる。介助する方もされる方もそれぞれに個性があって、旅行ではじめて顔を合わせる方とも、温泉に入って裸の付き合いをすると、ぐんと距離が近くなるからおもしろいものです。露天風呂はさすがに寒かったので、大きな内風呂ですっかり温まったあとは、しばらく各自部屋でのんびり、スタッフはそのあいだに段取りの打ち合わせなど。夕食はどれから手をつけたものか迷うほど料理がわんさと目の前に並んで、これも食べて、あれも食べて、これも飲んで、と四方から肉やら魚やらビールやらが回ってくる。またまた満腹になったあと、父兄の方が上の部屋で情報交換や勉強会をしているあいだ、夕食の席である大広間ではカラオケ大会が始まり、最初は恥ずかしがっていた面々もすぐに「マイクちょうだい」状態に。最近は歳のせいか(汗)なんだか知らない曲ばかりで、八代亜紀の「雨の慕情」や石川さゆりの「津軽海峡冬景色」には個人的にぐっとくる(笑)。そのあとは酒好きたちがひとつの部屋に集まって、夜中までまた飲んだり食べたりしゃべったり、普段はなかなか話す機会のない方々と楽しい時間を過ごしましたよ。


でもって、やはり日本晴れとなった2日目は、日光江戸村へ。関所のような門をくぐれば、そこはもう「江戸」。町人の格好をしている人や武士の格好をしている人や、かと思えば、屋根の上にはねずみ小僧までいて、「市中」では突然、通りすがりの僕らを巻きこんだ大捕物も始まり、お縄となったねずみ小僧といっしょに「はい、チーズ」、カシャッ。動物がちょっと怖い「あゆむ」は馬ににんじんをやることになり、とうか、強引に馬の前に突き出され、体をのけ反らせて「うぉ~」と人が振り返るほどの悲鳴を、苦笑。その後は「水芸」や「花魁ショー」を楽しんで、大勢でまたボリュームたっぷりの昼食をとって、帰路に。帰りの高速は埼玉付近で事故による渋滞にはまり、秋の日はつるべ落とし、夕方には急に空も暗くなったものの、車内はなぜか、渋滞もなんてそっちのけのハイテンションモード。ちょっと疲れて眠っていた人たちも目を開けて、あちこちの席からわいわい笑い声が。世田谷区役所には予定より約1時間遅れで18時に到着。旅の終わりって、どうしてこんなふうにさみしい思いになるんだろうね。いっしょに同じ時間を共有し、同じご飯を食べ、同じお湯に入ったあとで人の心に芽生えるもの。
そういうものをしっかり感じて、楽しみながら、今後のケアにいかしたいと思った2日間でした。


M
スポンサーサイト
2012.11.30 |
| コメント(0) | トラックバック(0) | 活動記録

こんにちは。
前回の更新からだいぶ経ってしまいましたが、なんだかんだと、必ずなにかが起こる特別な毎日が続いています。
感謝。
ほんとうは、大きなイベントがあるごとにアップするのではなく、そういう日常のひとつひとつの感動や気づきをブログにつづっていくべきなんだよな。
反省。
そして日々、勉強。
さてと。
さかのぼること2か月、9月8日(土曜)に渋谷公会堂でサルーキ=のワンマンライブが催され、ライフデザインも日頃から密なかかわりを持たせてもらっている同志のような「ご利用者様」(業界特有のこの表現をなんとかしないと)やそのご家族、そしてスタッフ一同、思いきり楽しみに行ってまいりました。
ほかのブログでも紹介しているように、サルーキ=でドラムを担当するすーさんは、ライフデザインのスタッフでもある。
普段とはまた違う側面で輝きを放つ仲間の姿を見るのは感慨深く、そんな仲間をはじめとして、なにかに一生懸命取り組んでいる人たちに接することで、それが僕らのエネルギーになって、「よし、つぎは自分の番だ」と思えるようになる。そんなふうにして、物事はあれこれつながっているわけで、そこで得た力が、形としては見えないけれど、実感としてそれぞれのなかに積み重なっていく。
そんな一瞬一瞬を誰かと共有できるのは(いまこうしてこのブログを読んでくださっている方をふくめて)貴重な経験だ。とくに言葉を通して意思の疎通がはかれない「同志」たちと過ごすこのような時間は、かけがえがない。
当日、僕らは舞台に向かって左側の最前列の席をごっそり車椅子スペースとして確保し、横になってライブが観られるようにマットレスも用意して、みんなでスーさんやバンドのメンバーに声援を贈り、ロックンフォークを満喫した。
ライブの最後に会場に降り注いだ手作りの紙のドル札を、みんなで両腕をいっぱいに広げて取ろうとしていた仲間たちのきらめく笑顔。
またひとつ、大切な思い出が、増えた。
M
2012.11.01 |
| コメント(0) | トラックバック(0) | 活動記録

2012年6月9日、ライフデザイン・プロジェクト#8「うちくる」として、サルーキ=ワンマンライブを行いました。
サルーキ=は日頃から福祉施設や老人ホームを精力的に回って、「ロックンフォーク」で聴く者の魂に火をつけている素敵なバンド。
メンバーのひとり、ドラムのすーさんがうちの会社で働いていることもあり、「ロックの日」にちなんで立ち上げたこの企画。
これはよく、なじみの「障害者」から聞く話なんだけれど、「障害者」という表現でひとくくりにされると、そのたびに個性が失われて、それぞれが違う考え方や趣味やスタイルを持っているという、ほんとうに当たり前の事実が忘れ去られてしまう。
たしかに「福祉イベント」のような催しは、それはそれで有意義で大切な機会だけれど、運営上、どうしても同じようなものになりがちで、「障害者のための」とか、「福祉とはなにかとか」、堅苦しい大義名分が前面にあっての内容になってしまう。そのなかで、参加者も主催者も楽しもうとはしているけれど、「娯楽」として用意されているのは、ほんとうに言葉は悪いけれど、見方によっては、「子供じみた」ものばかり。
普通に考えれば当然のことなのだけれど、「健常者」がそうであるように、ひとくちに「障害者」といっても、まじめな人もいれば、ふまじめな人もいる。明るい人もいれば、暗い人もいる。前向きな人もいれば、後ろ向きな人もいる。肌が白い人もいれば、黒い人もいる。背が低い人もいれば、高い人もいる。太っている人もいれば、やせている人もいる。
静かで穏やかな癒しの音楽が好きな人もいれば、ガンガン・ノリノリ(っていう言い方もいまどきなんだけど、笑)のハードな音楽が好きな人もいる。
これもまたよくある話だけれど、たとえば「音楽療法」として、あるいは純粋な趣味で、クラシック音楽を生で聴かせたい、あるいは聴きたいという希望があっても、現実には「障害者」が会場に出向くと、白い目で見られることがある。演奏の途中で声を出してしまったり、自然と体が動いてしまったりする人の場合は、とくにそうだ。
その点、ロックは、観客も騒ぐのが当然。いや、曲に乗らず、しら〜っ、としているほうが、まわりから白い目で見られる。問題は会場への移動手段になるわけだけれど、ライブハウスというのはたいてい(とくにこぢんまりした渋いところだと)、地下にあったり、エレベーターがなかったり、トイレもせまかったり、場所自体わかりにくいところにあったりと(またそれがかっこいいところでもあるんだけど)、車椅子で移動する以外にない者にとっては、豪勢な大ホールよりも実際、「敷居が高い」。
ライブハウスでロックを聴きたい。
そういう一見ささやかだけれど、非常に大切なもの。とても小さくて低いハードルに見えて、じつはとても大きくて高いハードルを、なんとか越えられないか、少なくとも、越えようとする試みができないか、との思いで、僕らは日頃から応援している「ロックンフォーク」バンド、サルーキ=の賛同を得て、第一歩を踏み出すことにした。
ライブ会場に選んだ場所は、下北沢のCLUB251、下北沢では有名なライブハウスで、駅から近いし、地下だけれどエレベーターがあるので、車椅子でも入れる。事前の下調べでも、「箱」自体、中にはさほど段差はない。トイレも、常備する複数のスタッフの介助があれば、可能だろう。
ただ、実際、会社の人間は、さすがにロックのライブを企画した経験がある者はいないし、サルーキ=のメンバーでスタッフでもあるすーさん、そしてサルーキ=のほかのメンバー・スタッフの方々の知恵や手助けがなければ、「一介護事業所」でもある動き出したばかりの会社が、大勢の人数を巻きこむワンマンライブの企画など実行に移せなかったかもしれない。
でも、僕らには心がある。しかも、スタッフみんなの心は、基本的に、笑、熱い。
いまどき、「熱い魂」なんて、それこそ暑苦しいだけだなんて、言われるのかもしれない。梅雨だし、これから、節電の夏だし、笑。
でも、それでも、僕らは正しいと思ったこと、そしてそれはきっと楽しいだろうと思ったことは、したいのだ。
だから、たんに、それを、するまでのこと。
今回、当日はあいにく、梅雨寒の雨。それでも、約ひと月前からという土壇場ではあったけれど、事前にフライヤーを施設に置かせてもらったり、直接手で配ったり、ホームページやブログで宣伝したり、当日の会場の飾りつけに関しても、自分らなりにできることはした。普段からお世話になっているいろいろな方々に声をかけ、その方々の協力があったからこそというところも実際、かなり大きいだろう。
名目としては自分たちがプロデュースした企画だけれど、自分たちだけで見事にやり遂げたという意識は、スタッフの誰ひとりとして持っていない。その手の「おごり」を持つということは、そもそもこの企画を成功させようという最初の意志とは、真逆だからだ。
先ほども言ったとおり、ロックのライブ(とくに主催側)に関しては、みんなが素人。でも、やりたいという強い意志があれば、おのずと賛同してくれる人が現れ、その人たちと手を取りあって、とても素敵な体験が共有できるという事実を、僕らはあらためて、この日、サルーキ=の音楽を全身で聴きながら、知った。
最前列にずらっと並んだ車椅子に乗って、車椅子ごと体を揺らして腕を振り回して雄たけびを上げる、二十歳の青年。その隣に敷いたマットレスの上にねっ転がって音楽を感じ、弾けんばかりの笑顔を見せてくれた、やはり同年代の彼女。そのうしろでは(文章もここまでくれば、もう「健常者」という表現すら、ばからしくなってくるのだけれど)みんなが総立ちになって、ボーカルの力強い歌声、ギターの爪弾き、キーボードの音色、ドラムのリズムに乗って、手を叩き、踊っている。
そういう光景を前から横から後ろから、そしてそのただなかに交じって目の当たりにできるという、めったに得られない至福。
それが、2012日6月9日に、僕らが感じた、感動だ。
なんか、文、熱いね、やっぱり、笑。
いずれにしろ、僕らはようやく、一歩を踏み出したにすぎない。すべては、ここからだ。
実際にやってみて、反省点は山ほど見つかった、でも、一方で、悔いはかけらもない。
そしてそう思える日となったのは、なにより、この企画にかかわってくれたすべての方々、バンドのメンバーやスタッフ、当日雨に降られながらわざわざ足を運んでくれた方々、そしてロックの、おかげだ。
あの日頬を伝った素敵な涙の、一滴一滴を、思うたび、僕らはあらためて目頭が熱くなる。
あの経験ができたのと、できなかったのでは、これから続く道は、確実に違っていただろう。
こんなふうにして、僕らは、どんな形でも共につながりながら、つぎへ、つなげていきたいと思っている。
M
画像をクリックすると、当日の様子がアルバムでごらん頂けます。
サルーキ=のウェブサイトはこちら、http://saluki.tv/top.html
2012.06.16 |
| コメント(0) | トラックバック(0) | 活動記録

6月2日、土曜日、目黒区の碑文谷公園にて、ご利用者様といっしょに乗馬セラピーに参加してきました。
区内で最も古い公園のひとつに数えられているこの公園には、弁天池でボート遊びができたり、兎や山羊などの小動物とふれあったりできる小動物園もある。その一角にある門を入ると、そこは馬場。
ここ数か月、予約は入れてあるのだけれど、当日になると雨だったり馬場の状態が悪かったりして、延期が続いていた乗馬セラピー。
今日は暑くも寒くもなく、日差しもさほど強くなく、絶好の乗馬日和。
草食動物で、本来群れで行動する馬は温厚で、心優しい生き物。人間とのつきあいの歴史も長い。
〈NPO法人ホース・フレンズ〉http://www.horse-friends.org/によれば、ドイツでは健康保険が適用されているほど、 欧米では乗馬療法として古代ギリシャの時代から長い歴史を持っているという。
たしかに、実際、テレビや写真で見るのと、目の前にするのとでは、まったく違う。
小柄なポニーでも、しっかりした体つきをしているので、その存在感に感動。
そこに馬がいるだけで、空気が違う。
「アニマルセラピー」という言葉をよく耳にするようになって、人間のよきパートナーである犬や猫、あるいはイルカといっしょに遊ぶ効果もひんぱんに取り上げられているが、「馬との対話」によるセラピーはまだまだ知られていないのかもしれない。
忙しない日常のなかで、静かにゆっくりと心を通わせる機会をなかなか得られないのは、「障害者」も「健常者」も同じ。
同行させてもらった自分も、すっかり馬に夢中になって、つぎの日には競馬に行きたくなりました(って、方向、違ってるかっ)。
先日の乗馬セラピーの模様は画像をクリックするとごらん頂けます。
すずめの子そこのけそこのけお馬が通る 小林一茶
M
2012.06.06 |
| コメント(0) | トラックバック(0) | 活動記録
4月12日(木曜日)、新宿ハイアットリージェンシー東京にて、第11回西京信用金庫合同ビジネス交流会に参加しました。
名のある企業から個人の会社まで、さまざまな業種が集まり、会場はさながら市場のような感じ。
所狭しと連なるブースにそれぞれ自慢の商品や企画が。
ブース同士にはさまれて窮屈そうなところも多いなか、わが社のブースの位置は幸運にも部屋の端にあって、片側のスペースがどんとあいている。そこに電動車椅子をでんと据え、オレンジ色のクッションのスタイリッシュな車椅子をお客様用に置く。この日に合わせて一新した会社のパンフレットやちらしを並べて、ロゴ入りの額やちょっとした花を飾り、パソコンで活動風景の写真を流して、ほかと比較してもけっこう華やかで楽しそうで、目を惹くブースになったかと(自画自賛、笑)。
ほかのブースめぐりは最初に歩きで、つぎに車椅子に乗って行ったのだけれど、やはり視点の高さで見えるモノの見え方(あるいは見られ方)が違うことにあらためて感動(痛感)。
スーツ族(っていまもまだするのだろうか)にまじって、わが社なりにアピールして参りました。
社会のなかでみんな頑張っているのだと刺激を受け、つぎの合同ビジネス交流会へのいい布石となった、実りある1日でした。
画像をクリックすると、アルバムに飛んで、様子をごらん頂けます。

春光の手のひらいっぱい自由市場 石川青狼
M
2012.05.11 |
| コメント(0) | トラックバック(0) | 活動記録
« | ホーム |
»